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「あらぁ〜〜きれいな猫やねぇ〜♪まだ若いから、毛もツヤツヤしてるし・・・」 |
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夫の両親が新居見物に上京。で、さすが猫好き一家、すぐ猫娘へ目がいく。が、当の猫娘は |
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見知らぬ客に対してはいつもの如く、近づけばフッ!と威嚇、あとは遠ーくで床にペタリと平伏、 |
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延々こちらを凝視し続けちょる・・・(--;) |
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しばし猫娘の事は忘れて喋りまくっていたが、 |
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何かの話の流れの中で、おかーさんがさらっと |
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言った言葉―「死んだうめが・・・」に、エッ? |
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となる。うめはももの母で。甘えない猫だった。 |
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「うめ、死んだんですか?」 |
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「というより、出て行ったとですね」 |
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「え?出て行った?」 |
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ニヤリ・・・うめ、人でいえば90歳 |
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猫娘、人でいえば8歳くらい |
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「うめは人に懐かん猫じゃったけん。それが |
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あの晩、お父さんの膝にポンっとのってきて |
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あれーっ、珍しい事もあるね〜て言うてたら |
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・・・それからその晩、出て行きよったとです。 |
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‘お別れ’に来たとですね」 |
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なんという不思議さ、悲しい程の潔さか・・・ |
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その後、うめを見た者は誰もいない。 |
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潮風香る夫の故郷。土に帰ったうめの魂は |
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今も心地よくノドを鳴らしているはずである。 |
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