小排気量の4ストロークエンジンの不調 - 二輪エンジニアたっき~の整備日記
2016/07/07
「二輪エンジニアたっき~の整備日記」その1話は、小排気量4ストロークエンジンの始動不良、アイドリング不調についてです。
二輪車に対する排ガス規制の影響により、2ストロークバイクが姿を消し、現在は、小排気量バイクでも4ストロークが当たり前となりました。
しかし最近、その小排気量の4ストロークエンジンならではのトラブルが見受けられるようになりました。
小排気量4ストロークエンジンならではの不調とは!
最近多いのが、バルブに噛み込んだカーボンで圧縮漏れを起こして、エンジンがかからない(始動不良)、アイドリングが安定しない(アイドリング不調)になったバイクの修理依頼です。
その多くが、通勤・通学に使用されているバイクで、乗り方の特徴として、まず暖気をしない、そして短距離(近所の駅までとか)しか乗らないユーザーのバイクです。
短距離であるため、エンジン内部の温度も全く上がらない状態で目的地に到着します。
そのため燃調(燃料調整)が濃い状態での走行のみとなり、適正な燃焼がされず、カーボンの堆積も多くなり、短期間でエンジン不調を起こしてしまっているようです。
某メーカーの 50ccスクータのエンジン始動不良状態バイクのバルブです。
ここまで酷い状況だと、非分解でのケミカル剤洗浄は聞かないのでエンジンを分解しての修理(O/H:オーバーホールと言います)となります。
こちらの車両は結局シリンダヘッドO/Hしバルブ等を研摩しました。
予防策としては、十分に暖気してエンジン内部の温度を上げてやる事。そしてカーボンを付着させない適正な燃焼が行われるような長距離を走る事ですが、しかし、普通、誰もが、急いでいる通勤・通学の時間にそれを行うのは難しいですね。
お薦めの解消方法は!
症状が軽いうちなら、市販の燃料添加型の洗浄剤を入れて様子をみるのもお薦めです。
インジェクターやスロットルバルブの洗浄効果もありますし、何よりエンジンを分解しての修理よりは確実に安くなります。
いろんなメーカーから洗浄剤が出ていますが、お薦めははこちらです。
ワコーズ F-1 フューエルワン 洗浄系燃料添加剤 F112 300ml F112 [HTRC3]
和光ケミカル (WAKO'S)
ただし、燃料タンクに添加するときに必要分量を確認し、絶対に入れすぎないでください。入れすぎるとエンジン不調になる場合があります。
燃料が 30リットル未満の場合は 1%を超えないように添加してください。